ベッドの上に座ったままで、真琴の体が跳ねあがる。 「きゃっ!」 ジャケットの下の胸元を撫でただけなのに、敏感な反応だ。 「や、ま、まってよ、祐一!」 「だーめだ。」 言いながら、胸元を隠そうとする腕の下に右手を滑り込ませ、左手で肩を抱く。 「あ、あの、まだお風呂も入って無いし…」 「よしよし、じゃあ後で一緒に入ろうな。」 「なっ!そんな…」 紅潮する頬に軽くキスをすると、抗議の声が一瞬止まる。 「いいだろ…今度はきちんと、な。」 「………」 頬を膨らませながら、不承不承にこくん、と頷く真琴。 肩についた若草を払い、ゆっくりとジャケットを脱がせる。 たっぷりと春の日差しを吸い込んだ髪の毛は、日向の匂いがした。 「…春の匂いがする。」 「だって…春だもん。」 少し嬉しそうに応える真琴。 その微笑みが俺の腕の中に戻って来るなんて、今朝までの俺は思いもしなかった。 「何をのんきに、あんな所で寝こけてるんだよ…」 「へへへ…でも…どうして私、あの丘に帰って来れたんだろうね…全然わかんない。」 「………」 心に微かに引っかかる、棘。 「もう、会えないんだ…」 あゆの言葉が、心から離れない。 微かな棘として。 「…奇跡、だね…」 「…?」 珍しく静かに、真琴がつぶやく。 「ここに帰って来られるなんて…思わなかった。」 ぱたぱたぱた 「これって、まるで…奇跡、だよ…」 笑顔の端に浮かんだ涙が、シーツを叩く。 「…真琴…」 「私、幸せだよぉ…」 俺に肩を抱かれたまま、真琴は涙に濡れた瞳を閉じて顔を上げる。 しゃくりあげるように飲み込む息が、体を大きく揺らしていた。 「祐一に、また会えるなんて…もう、絶対会えないと思ってた…」 「ま、真琴…」 「…ずっと、待ってた…」 「!」 俺は驚愕を感じた。 「ずっとずっと…ずうっと…何回も暑くなって、寒くなって、暑くなって、寒くなって… 仲間も居なくなっちゃって、みんな居なくなっちゃって…」 「ま、真琴…お前…」 「ずっと、待ってた…祐一、戻って来るって思って…だから…」 「………」 ぎゅっ 俺の胸元を掴む手に、力がこもる。 「ごめん、真琴…でも、今度は迎えに行けた…ぴろのおかげで、な…」 ぴろを追った先に、真琴は眠っていた。 あの日と同じ、あの丘の上で。 「…ずっと、一緒だ。」 堅く閉じられたままの瞳を覗き込むように、唇同士を重ねる。 「…ん…」 「ふ、は…」 互いの舌を吸い合うように、俺と真琴はキスを続けた。 トレーナーをたくし上げ、手の平を直接真琴のおなかに当てる。 「…ひゃんっ!」 少しだけ身をひく真琴。すると、俺と真琴の間でつぅっ、と唾液が糸を引く。 「やだ、祐一の手…冷たいよ…」 「…じゃあ、暖めてくれるか?」 「え…?」 それ以上は言わず、トレーナーを上げて真琴の胸を顕わにする。 そして、その胸の谷間に手を置く。 「…うん、わかった…」 ぎゅっ 両手を俺の手に重ね、強く抱きしめる。 「今度は私が、祐一の事…ずっと、ずっとあっためてあげる…」 「…ああ…ずっと、暖め合おうな。」 そう言ってベッドに倒れ込んで、もう一度長いディープキスをする。 ぴちゃっ、ぴちゃ… 「はぁ、あふ、あ…」 真琴の吐息が、熱い。 ちゅっ、ぴちゅ… 「ん、ん…」 蟲惑的な音が、俺と真琴の間に響く。 …つ… 「…あ、…ふ…」 胸の谷間からそのまま下へと滑り落ちる手を、真琴はさして留める事もなく離した。 その代わり、俺の首に甘えるように手を回してくる。 ごそごそごそ スカートの下に潜り、下着の中に入る。 ………ぴちゃっ 「!あ!」 茂みの下の水っぽい場所。そこに指の腹を走らせると、さっきより激しく真琴の体が跳 ねる。 「…すごい、濡れてる…」 「あぅーっ、言わないでよう…」 「ははは…可愛いな、真琴は…」 「祐…一…」 体を起こして真琴の足をそろえて、スカートとパンティを脱がせる。 しゅるっ… 「あ…」 真琴は足と足をすりあわせて、もじもじとしだす。 ついでに俺も下を脱いでTシャツだけになった。 「わぁっ…」 「な、なんだよ…」 「…へん…」 人の股間をまじまじと見ておいて、言うことはそれか! 「何が変なんだよ!」 「だって、だって、何かおでん中に入ってるソーセージみたいだし、そんなに上向いてる し…」 「だあぁっ!いちいち描写するな!」 俺は真琴にかぶさるようにして、トレーナーに手をかけてジャケットごと脱がせた。 「ん………」 肩をすぼめて、脱がしやすい体勢になってくれる。 …ふるんっ 意外と形の良い乳房が、小さく揺れた。 「…な、なによぅ…」 真琴が自分の肩を押さえるような体勢になる。 「真琴だって…濡れてる上に…ここ、堅くなってる。」 俺は真琴の胸の先端を手の平で優しく撫でた。 すっ 「ひゃんっ!」 先端を刺激されて、身を固くする真琴。 その固さと柔らかさの微妙な兼ね合いを味わうために、俺は真琴を抱き寄せると同時に その胸を優しく撫でるように触ってみた。 ふわっ 「……ん…」 鼻にかかった吐息が、いつもの真琴からは想像も出来ない色っぽさを感じさせる。 「真琴の胸…綺麗だ…」 「あぅーっ…なによう、自分は『いちいち言うな』って怒ったくせに…」 「ばっばかっ、俺のは誉めたんだぞ?」 「それでも、はずかしいもん…」 目をうるませて俺を見上げる真琴のほほに、一筋の涙がこぼれる。 「祐一、だからだよ…見せるのも、我慢するのも…」 「…ま、真琴…」 その言葉に背中を押されるかのように、俺は正面から真琴を抱きしめた。 「好きだ、好きだ、真琴…お前が、好きだ…」 「祐一…」 唇同士を重ねて、そのまま首筋に移動する。 つぅっ… 「ん…」 俺の口が右の乳房に差しかかった時、真琴は不安げに吐息を漏らした。 …ちゅっ 「ふぁっ!」 先端を軽く吸うと、吐息に代わって甘い声が飛び出した。 開いた手で、もう一つの先端を摘んでみる。 「ふ、ぁ…んん…ん…」 身をよじるような仕草をする真琴を見ながら、俺は左手で乳房を弄びつつ口を下へと進 めて行った。 「あ!や…だ…」 「…開いて、くれるか…」 「そ、そんな事…」 「…な?」 「………」 かおを真っ赤に染めて、すっ…と、足と足の間が開く。 「…くぅん…」 顔の前で両手を握り、恥ずかしさに耐えて俺の愛撫を受ける真琴。 俺はそんな真琴を見て、優しく、そして、気持ち良くしてあげたいと思った。 つつつ… お腹から舌を移動させつつ、俺はその間に顔を埋めた。 ぐいっ 「あ…」 俺の方を向くように横にする。 真琴の腰を抱きかかえ、覗き込む様に股間に顔を埋めた俺は、真琴の足の重さを頭の横 で支えながら、赤っぽくなった唇の間に静かに舌を刺し入れた。 「…!………」 身を震わせる真琴。 それに合わせて、つ…と透明な液体が俺の頬を伝って、頭の下になっているすべすべし た太ももを濡らす。 …ぴちゃ、ぴちゃ… 「や、は…あ、うぅ…」 真琴が舌攻めに身をよじらせたその時、 ふっ 「!くっ…」 真琴の吐息がかかった俺の股間の先端に、電気が走ったような気がした。 「?ゆうい…あ…」 絶句する真琴。 「………」 何も言えない俺。 考えてみれば、この体勢は真琴の大事な部分に顔を埋めると共に、俺のを真琴の目の前 に突き出している格好にもなっているはずだ。 「………ゆういちの、だぁ…」 ぼーっとした口調でつぶやく声を聞いていた俺は、次の真琴の行動に思わず腰を引いて しまった。 …ぺろっ 「う、あ!」 「あ、ご、ごめん…痛い、の…?」 心配げに聞く真琴の声を聞きつつ、俺は高ぶる気持ちを正直に口にした。 「いや…すっごい気持ち良かった…驚かせて、ごめんな。」 「ううん…やっぱり…祐一も、ここなめられると…気持ちいいんだ…」 「…真琴もか?」 しばし沈黙。 「………うん…すっごく、変になっちゃぅよぅ…」 「じゃあ、なめ合ってみるか?いっぱい。」 「!………うー………」 困ったような声が途切れると、 「………」 ぎゅ…ぺろ 「!うっ…」 俺のを優しく握って、先端を柔らかい舌が走り出した。 ぺろ、ぺろ、ぺろ… 柔らかい手に包まれた感触と、ちろちろと色々な所を舐める舌の刺激が、俺の鼓動を苦 しいぐらい早くする。 それを応えるために俺は、再び濡れた部分に口づけをする じゅ…じゅるっ 音を立ててあふれる液体をすすると、舌が一瞬だけ戸惑うように止まる。 じゅるるっ…じゅるっ… 甘い。 真琴の舌の刺激のせいで、痺れるような感覚に満たされた頭の中でそう思った。 じゅ…ずる、ちゅ… ぺろ、ぺろ、ぺろ… 互いの一番敏感な部分を舌で刺激しあう。 俺は一心不乱に真琴の部分を舌でなぞり、時折あふれる液体をすすっていたが… 「…だ、駄目だ、真琴、もう…い…」 「?」 真琴が顔を少し上げた瞬間、腰の奥で何かが爆発するような感覚が襲ってきた。 どぷっ! 「!」 どぷ、どぷっ 思わず突き出してしまった先端から、自分でも解るくらい大量の液体がほとばしってゆ く。 「ふ、あ………ん!」 …あむっ 「!」 真琴の口が俺の先端全体を包む感触に、俺の射精は一層激しさを増した。 「ま、まこと、無理、しなくて…」 「………」 ずぴゅ、ずぴゅ… 「う、あ…ま、まこ、と…」 「………ん…」 真琴の顔と口の中に全てを吐き出した俺は、身を起こして真琴を見やった。 つ… 名残惜しそうに糸を引いて俺のから離れる真琴の唇。 「う…」 その残り香のような刺激に、思わず声が出てしまう。 「………………」 「?どうした?」 真琴は困ったかのように下を向いていたが、のろのろと体を起こしてから、 ………んっくん! 「あ…」 音を立てて、俺の白濁液を飲み下した。 「…えほっ、えほっ、えほっ…」 「ば、ばか!無理するな!」 枕もとに置いたティッシュで俺ので汚れた顔をぬぐい、咳込む体を抱き寄せて、背中を 叩いてやる。 「無理して飲むこと無いんだ、そんな…」 「…お返し…」 「?」 照れくさそうな顔を向けて、笑う真琴。 「祐一も、私の飲んでくれてたでしょ…だから、お返し…だよ…」 そう言って頬を染め微笑む真琴を見ると、俺の中で何かが頭をもたげてきた。 「?祐一?どうし…きゃっ!」 俺の顔を覗きこむ真琴の返答も聞かず、俺は真琴をあおむけに押し倒して、足を大きく 広げさせた。 「や、やぁっ!」 身を起こして、見下ろすようにして宣言してやる。 「…悔しいから、お前も気持ち良くさせてやる…」 「え?えぇっ?」 戸惑う真琴の腰を胸元まで持ち上げて、抱きかかえる。 がっ…ぐいっ! 「きゃあっ!」 さかさまになった真琴の秘密の部分と、手前の方にあるもう一つの穴が濡れ光って見え た。 「あ?あ、やだ!こんな格好恥ずかしいよう!」 抗議の声は上げるが、身をよじる力はさほど強くない。 「………綺麗だ、真琴の…」 「…!」 身を固くした隙に、 ちゅぷ… 「あ、は!」 真琴の秘部の周囲を舐め始める。 てろてろてろ 「…ん…は…」 わざと、敏感な部分を避けるように舐める。 てろ…てろ、てろ… 「あ…は…そこ、じゃないよぅ…」 「…じゃあ、こっちか?」 焦らす攻めに甘えた声を出す真琴の声を聞いて、俺は舌を手前に移動させた。 「!や!あ!そっちはもっとちがうぅ〜!」 「………違わない。」 つぷっ 「!あ、あぁ…ふ…」 後の穴を舌で貫かれた真琴は、身を一瞬だけ震わせてくたっとなった。 「…ん…は…」 力が抜けたのを見計らって、足を抱えていた右手を少しだけ移動させる。 秘密の部分の上端にある、敏感な豆を撫でる。 …くりゅっ 「!…は!」 息を飲む音が聞こえる。 くりっ…くく… つぷっ、ぬぬぬぬぬ… 豆を指の腹で撫でながら、後ろの穴を執拗に貫く。 「…ん…んんっ!…ふぅ…」 …ちゅぷっ 「あ!」 力無く身をよじらせる体を離すと、真琴は大の字になったまま、大きく胸を上下させて 呟いた。 「…ゃあ…ゆう、いち…」 その声を聞いて、俺はただ欲しいだけの衝動ではない何かが、俺の胸を満たしてゆくの を感じた 「もっと…欲しいか?」 「………ん…」 「…わかった…」 涙目になったまま、こくりと頷く真琴を覆い被さるように抱きしめる。 「俺を、やるから…受けとめろ、真琴。」 「うん…うん…」 涙を浮かべた目を固く閉じて、何度も頷く。 その肩をわきの下を通して掴み、入口に先端を押し当てる。 ちゅぷ… 「んあっ!」 それだけで感じてしまう真琴を、俺は心の底から愛しいと思った。 愛しい。 お前が愛しい。 誰よりも、こいつを愛したい。 強い衝動と満たされた意志が力となって、俺は自信の腰を真琴に向けて突き出し始めた。 強く、ゆっくりと。 ぐぐっ 「ん…」 ぐぐぐぐっ… 「…あ、ふ…あぁ…」 …ずりゅっ! 「くぁっ!あああっ!」 びくんっ! 真琴の体が跳ね、弓なりに数秒反った体が力無くベッドに落ちる。 「?ま、真琴?」 「はぁ、はぁ…ふう…ふう…」 息も絶え絶えに俺を見上げる真琴は、ぽろぽろと涙を流し始めた。 「…祐一ぃ…」 「…ん?」 「祐一が、いるよぉ…ここに居るよぉ…」 不意に、遥か昔の夕日を思い出す。 この街で見た、最後の夕日。 俺と真琴の誓いを見ていた、大きな赤い恒星(ほし)の赤…その光が、今、俺の部屋に刺 し込んでいる夕日の色とだぶる。 「ああ、ここに居るぞ…真琴。」 「ゆういち、ゆういちぃ…」 ぽろぽろと涙を流しつづけて呟く真琴を抱きしめて、ゆっくりと動き出す。 じゅっ、じゅっ、 俺と真琴が繋がっている証拠。 小さく水っぽい音が、俺と真琴の間に響く。 「一緒だ、一緒だ!真琴!」 「ひっ!…う、ん、ゆう、いち、と、いっ、しょ…」 じゅぷっ、じゅぷっ、じゅぷっ、じゅぷっ、 互いに強く体を抱き寄せ、ベッドの上で俺達は動き続けていた。 だんだんと頭の中が痺れてきて、真琴の体の感覚だけが俺の中での全てとなった。 じゅぷっ、じゅぷっ、 「あ、は、やっ!いやぁ!」 吐息。 じゅぷっ、じゅぷっ、じゅぷっ、じゅぷっ、 「ふ、ふああぁっ!」 びくんっ! 躍動。 じゅぷっ、じゅぷっ、じゅぷっ、じゅぷっ、じゅぷっ、じゅぷっ、 「は、う…」 ぎゅっ 「祐一、ゆういちぃ…」 温もり。 その全てが、俺の中に流れ込んでくる。 そしてきっと、真琴の中にも。 「真琴!」 「祐一!ゆういちぃ!」 互いの名を呼んで強く抱き合った瞬間、俺は強く腰を突き出して思いの全てを真琴の中 に注ぎ込んだ。 「ま、真琴…くっ!」 どくっ! 「!ふ…あぁ!」 どくっ!どくっ!どくっ! 「あ…あ…あ…ん、あああぁぁぁーーーっっっ!」 絶頂を迎えた真琴の声は、誰も居ない家の中を通りぬけて響いた。 そして俺はその声を聞きながら、真琴をもう一度強く抱きしめた。 もう離さない。 もう…二度と… # # # 裸のまま立ち尽くす俺に、同じく裸のままの真琴が、ベットの上に座ったままふくれっ つらで俺を睨む。 「…何だよ…足腰立たないって言うから、運んでやるって言ってるだろ?」 「ゆ、祐一のせいでこうなったんだからね!」 赤面しながら、抗議になってない抗議を叫んでいる。 「だからその責任をとって、風呂まで運んではこんでやるって言ってるんだ…ほら、おぶ され。」 「あぅーっ、恥ずかしいよう…」 ベットに座った俺の背中に覆い被さる真琴。 その軽さと胸の豊かさに、俺の鼓動が少し高鳴った。 「…何言ってる、もっと恥ずかしい事一杯したくせに…」 「!」 抗議を止め、実力行使に出たらしい。 ぽかぽかぽか 「相変わらず非力だな…ちっとも痛くねぇ。」 …ぽか… 「…ん?」 わしっ 頭を叩いていた手が、俺の頭を髪ごと掴む。 「祐一…」 「…何だ?」 「………」 ………ひたっ いきなり手を離し、俺の背中に体重を預けてくる。 「…また…いっぱいいっぱい、遊んでね…」 「…ああ。」 「ご本も、沢山読んでね…」 「ああ。」 「肉まん、一杯買ってね。」 「買える限りはな。」 「…もう…」 「………」 「何処にも…行かないで…」 「………ああ、もちろんだ!」 END